A woman wearing lab grown diamonds

ラボグロウンダイヤモンドの未来

ラボグロウンダイヤモンドは、地球に優しく、現代的なジュエリーの革新的な選択肢として、ジュエリー界に旋風を巻き起こしています。

この記事では、最先端の進歩、革新、環境に配慮したトレンドに焦点を当てながら、ラボグロウンダイヤモンドの有望な未来について掘り下げていきます。

遡りましょう。ラボグロウンダイヤモンドとは正確にはどんなもの?

ラボグロウンダイヤモンド(LGD)は、別名人工ダイヤモンド、養殖ダイヤモンド、合成ダイヤモンドとも呼ばれ、自然の地質学的プロセスを再現する高度なプロセスを用いてラボで製造されます。


基本的に、LGDは自然に形成されたダイヤモンドと同じ物理的、化学的、光学的特性を持ち、肉眼ではほとんど見分けがつきません。そのため、科学者や宝石学の専門家は、ラボグロウンダイヤモンドを確実に識別するために、成長条件から生じる独特のマーカーを分析する分光器や技術を使用する必要があります。


ラボグロウンダイヤモンド技術の開発は1950年代まで遡ることができ、主に切削工具やのこぎりのような工業用途に使用されていました。ですが、近年の技術の進歩と革新により、現在では宝石品質の石を生産することが商業的に可能になっています。


2018年には米国連邦取引委員会(FTC)が、ラボグロウンストーン(ラボで製造される石)をダイヤモンドの定義に含めるようガイドラインの改定も成されたのです。

lab grown diamond

セレブからも愛されるラボグロウンダイヤモンド

LGDは近年、多くの著名人から推奨や支持を得ています。世界的に有名な環境活動家であるレオナルド・ディカプリオは、2015年にラボグロウンダイヤモンドの会社であるDiamond Foundry(ダイヤモンドファウンドリー)に投資し、持続可能なファッションへのコミットメントを表明しました。


また、映画「ハリー・ポッター」で世界中で愛されるハーマイオニー・グレンジャーを演じ、活動家でもあるエマ・ワトソンもいくつものイベントにてラボグロウンダイヤモンドを着用しています。2019年のVanity Fair(ヴァニティ・フェア)のアカデミー賞アフターパーティーがその例のひとつ。他にも、ゼンデイヤ、ゾーイ・クラヴィッツ、レディー・ガガ、リアーナ、ニッキー・リード等のセレブもラボグロウンダイヤモンドを着用したり、推奨しています。

ラボグロウンダイヤモンド産業の繁栄

高まる顧客ニーズ

金融アナリストのポール・ジムニスキーが指摘するように、ラボグロウンダイヤモンド産業は過去10年間で目覚ましい成長を遂げています。ラボで製造されたダイヤモンドの市場は、2022年までに120億ドル近くにまで急上昇し、2016年当時の売上高10億ドルから信じられないほどの飛躍を遂げました。しかし、それだけに止まらず、ラボグロウンダイヤモンド市場は今後も輝き続け、2030年には499億ドルという驚異的な規模に達すると予測されています。

進化する市場ダイナミクス

LGDに対する急速な需要は、消費者の嗜好や考え方が進化していることを反映しています。このトレンドを認識し、パンドラやスワロフスキーといった有名宝飾品小売業者がラボグロウンジュエリーの市場に参入しました。最近では、LVMH傘下のプラダもラボグロウンダイヤモンドをあしらったファイン・ジュエリー・コレクションを発表しています。

 

LGDの使用と知名度の高まりに伴い、私たちはどこへ向かおうとしているのでしょうか?どんな未来が待ち構えているのでしょうか?

創造性の自由を解き放つラボグロウンダイヤモンド

LGDへのアクセスが増えると、様々な活用方法の幅が広がります。ジュエリーデザイナーにとってラボグロウンダイヤモンドは、未知の美学やデザインを探求する創造的な自由を与えてきました。ラボグロウンダイヤモンドの安定した品質、カスタマイズ可能な形状、豊富なサイズ感、そして鮮やかな色合いは、デザイナーのイマジネーションを具現化する無限の可能性を広げたのです。

ラボグロウンダイヤモンドを使用することで、デザイナーはもはや自然が設定した制限に縛られることなく、このラボグロウン素材を試し、実験し、これまで市場で見られなかったユニークな作品を創造することが可能になったのです。

 

ラボグロウンダイヤモンドの世界で注目すべきレーベルのひとつである Unsaidは感情を象徴的なジュエリーに巧みに変換し現代的なジュエリーを提供しています。そんなUnsaidは、パビリオンを取り除く珍しいカッティング技法でクラシックなペアシェイプを再構築し、ユニークで半透明の宝石を生み出しました。

 

Unsaidの革新はそれだけにとどまりません。 Phoenix cut (フェニックス・カット)は、創造性を新たな高みへと引き上げ、4つの異なるラインで収束する細長いダイヤモンドによって、不死鳥の優雅さと力強さを表現し、上昇する翼の魅惑的なシルエットを形成しています。

lab grown diamond

未来に貢献するラボグロウンダイヤモンド

世界がより持続可能で低炭素な未来へとシフトしていく中、ラボグロウンダイヤモンドの生産者と宝飾ブランドは、新しい持続可能で意識的な実践を取り入れる最前線に立っています。

再生可能エネルギーによる生産方法

De Beers(デビアス)のラボグロウンダイヤモンド・ブランドであるLightbox(ライトボックス)は、ラボグロウンダイヤモンドを製造する合成段階において、100%再生可能な風力エネルギー供給に投資することで、意識的な実践において大きな進展を遂げています。この変化により、潜在的な排出量が79%も削減され、事業運営の脱炭素化と気候変動へのコミットメントを示しています。

CO2抽出技術

ニューヨークの「ダイヤモンド・ディストリクト」に拠点を置くAether Diamonds(エーテル・ダイヤモンド)は、世界初のカーボンネガティブダイヤモンドメーカーであり、B Corp認証を取得しています。先駆的な直接空気回収技術(DAC)を活用し、スイス・アルプスで大気中の過剰な二酸化炭素を除去し、貴重な石に変換しています。カーボンフリーのエネルギーで製造工程を賄うことで、Aether Diamondsは二酸化炭素排出量の純減を達成しているのです。Aetherの画期的なアプローチは、ラボグロウンダイヤモンドがイノベーションを通じていかに持続可能な取り組みを推進できるかを浮き彫りにしています。

コンシャス・ジュエリー&サーキュラリティ

ザ・フューチャーロックスの中心には、高品質な素材、リサイクルされた金属、ラボグロウンダイヤモンド、および宝石を使用した良心的なジュエリーがあります。世界中にまたがる未来志向の宝飾デザイナーを引き寄せ、共通の価値観で結びついた革新者のコミュニティを育成しています。

ジュエリー以外にも可能性を広げる技術の進歩

ラボグロウンダイヤモンドの製造方法には、化学気相成長法(CVD)と高圧高温法(HPHT)の2つがあります。

研究者や科学者はラボグロウンダイヤモンドをさらに製造するため、これらの技術の改良に取り組んでいます。進歩が進むことで、同じ外観と化学組成を持つ、より大きく高品質なダイヤモンドを生み出すことが可能になります。技術が向上し、より効率的で低コストの製造方法が開発されるにつれて、ラボグロウンダイヤモンドは、消費者にとってますます身近で望ましいものになるでしょう。

 

現在、宝飾品はラボグロウンダイヤモンドの収益の約10%を占めていますが、これらのダイヤモンドは宝飾品に限らず、医療、科学、工業、計算分野など、さまざまな産業で重要な用途を見出しいます。

 

例えば、その硬度と熱伝導性から、ラボグロウンダイヤモンドは切削工具や電子機器の熱管理に適しています。さらに、その光学特性はレーザー、センサー、医療用画像処理装置などにも利用されています。

まとめ

ラボグロウンダイヤモンドの向かう先は明るく有望な未来でしょう。変化する消費者の需要、技術の進歩、そしてラボグロウンダイヤモンドが提供するデザインの柔軟性が、その人気の高まりに一層寄与しています。

 

より多くの消費者が宝飾業界に革新を求める中、その需要に応えることに適しているのがラボグロウンダイヤモンドです。持続可能性、革新性、創造性を組み合わせることで、ラボグロウンダイヤモンドは宝飾業界の未来を形づくっています。